飛騨高山へ行ってきました。
だんだんと近づいてきたこの家、一体何を干しているのか分かりますか?
もっと近寄ってみました。
ダイコン?カンピョウ?
いえいえ、実はこれ、和紙の原料になる「楮(コウゾ)」です。
さて、振り向いて見ると・・・
え?
雪の上にもコウゾがいっぱい。
飛騨の手漉き和紙「山中和紙」とは、鎌倉時代初期に盛んになり、
室町時代には貴族への贈り物として珍重されていたそうです。
その後も現代まで、農家の冬仕事として細々と継承されていきました。
この作業は「雪さらし」といって、皮を剥いて干したコウゾを、
きれいに削って白皮だけにし、さらに冷たい水に浸けたあと、
天気のよい日に雪の上にさらしておくと、自然漂白されて真っ白になるのだとか。
雪の上にあるコウゾは、確かにとてもきれいな白に変わっていっています。
・・・とはいっても尋常じゃない量のコウゾです。
マイナスになるほど極寒の中での作業は、とても楽なもんじゃありません。
ぞくっとするほど冷たい水で洗い、雪が降ったら急いで回収しなければならないし、
相当な肉体労働です。
そして近くにある「いなか工芸館」では紙漉きの様子を見たり、
体験することができます。
ここに現れたるはスーパーおばあちゃん。
この方、さっきの雪ざらしをほとんど1人でこなしてしまっています!!
スタスタスターっと歩くのも速い!!
和紙作りは、もう50年以上続けているそうです。
そして冷たい水をものともせず、
ざぶんざぶんと枠を揺らして、あっというまに和紙を仕上げていきます。
さり気なくやってるけれど、見事な手さばき!!
とにかくすごいっ、に尽きます。
できた和紙はこんな道具で乾かします。
フタを開けたところには、薪が入っているんですね。
触ると暖かいです。
ここに和紙をぴたっと貼り合わせ、空気が入らないようにしっかり伸ばします。
おばあちゃんが手に持っているのはツバキの葉っぱ。
和紙から空気を抜くのに、この葉っぱが一番都合いいんだとか。
ツルツルしている面を使って、丁寧に伸ばしていきます。
(大きな和紙を作るときは、ブラシのような道具で伸ばします。)
私たちも体験で小さな和紙を作らせてもらいました。
水がとっても冷たいけれど、出来上がってみると、なかなか満足。
和紙ならではの素朴な風合いが心地よく、ぞれぞれちょっとしたクセがあったり、
よれたところや、クズが入ってしまった感じなどにも、味わいがあります。
とても楽しい経験でした。
山中和紙