「竹尾ペーパーショウ2014」へ行ってきました。
今回で47回目を迎えるという、歴史ある展示会です。
毎回、紙という概念を覆すようなすばらしい作品に驚かされるのですが、
今回はさらに感動的でした。
今回のテーマは、「SUBTLE」(サトル|かすかな、ほんのわずかの)。
"紙が繊細なのではない。紙が揺り起こす人の感覚こそ繊細である。"
という言葉から始まる、今回の展示の解説文にある通り、
各クリエイターがそれぞれの視点で独自に表現された
「SUBTLE」の多様な質感の造形物に圧倒されました。
紙という素材、そして人の感覚の繊細な部分に焦点を当てる、
というテーマには特に興味津々だったので、
心にグッと来る展示が多かったように思います。
展示会場は東京・東雲という倉庫が並ぶ物流工業地帯で、
なかなか普段行かないような場所なのですが、
無機質で硬く金属的な雰囲気を持つ場所から、
いきなりふわっと儚く繊細な紙の世界へ飛んで行くような非現実感が
より楽しい衝撃を与えてくれるように思います。
あまりに盛りだくさんな展示だったので、全てを紹介しきれず、全てを説明しきれないですが、
いくつかかいつまんでご紹介。
会場内は以下の4つの視点で構成されていました。
●15名のクリエイターによるSUBTLEを表現した展示「SUBTLE|CREATION」
●人の精緻な感覚を呼び起こすSUBTLEな諸現象を編集して展示する「SUBTLE|COLLECTION」
●ファインペーパーの新製品などをご紹介する「NEW RELEASE」
●写真家上田義彦氏による紙の根源を表現した「紙の肖像」
特に、クリエイターによる表現「CREATION」は、
メイン展示として多くの人たちで賑わっていました。
最初に心奪われたのが「紙の花」(三澤遥:デザイナー)。
近寄って見ると、細かいシワの質感などが、まるで生きているようなリアリティで、
しっとりとした瑞々しさまで感じさせ、
ただもう、じっと眺め入ってしまいます。
こちらは、「ひとつながりの糸」(トラフ建築設計事務所:建築家)。
トラフといえば「空気の器」という、形を自由に変えられる、
不思議な紙の器のデザイナーとしても知られているので、ご存知の方も多いのでは。
今回は、どんな風に紙を表現してくれるのか、楽しみでもありました。
1本の細い金の糸をくるくると解いていく姿をそのまま紙の上に落とし込み、
不規則で自然な糸の動きが、1枚の紙に表現されています。
そして紙からはみ出した部分はあえて規則的に巻き取るように糸を配置し、
その対比性に面白さがあります。
目を凝らして糸を辿って行けば、始めと終わりのあるたった1本の糸である不思議。
シンプルなさり気なさの中に、小さな驚きがあります。
こちらも紙!
くるくるとコイル状になっているけれど、紙でできています。
「コントロール」(中村竜治:建築家)
好きに形を変えられる紙という素材をギリギリまで厳密にコントロールすると
その立体物はどんな雰囲気を帯びるのかという試み、を表現しています。
固いような柔らかいような弾力性、紙という素材を忘れてしまうような、存在感のある作品でした。
楽しい雰囲気のこちらは、「紙の飛行体」(三澤遥:デザイナー)
実際に空中にひらひらと舞う姿も映像で紹介されていました。
すうっと横に飛んで行くものや、くるくる回りながら落ちて行くもの、
ふわふわと浮かんでいるような不規則な動きのものなど、
形によって動き方が違い、それぞれの美しさがあります。
さて、展示作品は他にもまだまだたくさんあるので、次回へと続いてご紹介します。
竹尾ペーパーショウ2014
http://www.takeopapershow.com