次回のmt ex展は川棚温泉(10月3日〜18日)。
山口県の下関からローカル線で40分ほどの、静かな田園風景の広がる町で、
県の中では一番古い、800年の歴史があると言われている温泉地です。
優しく穏やかな山と海に囲まれた、豊かな自然の風景が美しく、
毛利のお殿様、山頭火、音楽家のコルトーなどが、終の住処にしたい、と愛した町だそうです。
その会場、下関市川棚温泉交流センター「川棚の杜」が素晴らしいというウワサで、
ついに現地まで行ってみました!
小さな温泉街に突如現れる、不思議なかたちの建築。
この建物、なんと隈研吾さんによる設計です。
川棚の穏やかな自然の風景に馴染むようにと造られた、オーガニックな建築。
山のような、または島のようなかたちを思わせる、有機的なフォルムです。
壁の色は微妙に3色に変えており、天候や時間によっても見え方が変化します。
生活に根ざした文化を象徴し、風土に馴染むよう、構造やテクスチャーに細やかな配慮があります。
中へ入ってみると、入ってすぐは「烏山民俗資料館」として、
主にこの地域の民俗・歴史などに関する資料や、
日本だけではなく、アジアを中心とした広い地域の庶民文化や工芸資料などが収蔵され、
テーマ毎の展示が行われています。
生活に根ざした古い道具などの展示が多いようで、
暮らしや工芸に興味のある人には面白い展示だと思います。
もう少し中へ進むとカフェがあり、ここで一休み。
mt ex展では、このカフェが大変身するとか??
テーマカラーはピンク、というヒントを頂きました。
というのも、mt ex展が開催されている時期、この地域ではコスモスが満開で、
近くのリフレッシュパーク豊浦では「コスモスまつり」が開かれているのだそうです。(10月3日・4日・10日~12日)
広大な「コスモス迷路」は一見の価値ありとか!!
さらに奥へ進むと、広いホールがありました。「コルトーホール」です。
先ほどチラリと紹介した音楽家のコルトーさんは、スイス・ジュネーヴの出身で、
1952年に日本公演を行い、全国各地を訪ねた時、川棚温泉の風景に魅了され、
「今まで世界中の風景を見てきたが、こんな美しい夢のような風景は見たことがない。
ここに永久に住んでも悔いはない」とおっしゃられたとか。
そのコルトーさんにちなんで建てられたこのホールでは、
音楽を中心としたイベントなどを企画し、町の活性化を目指しています。
コンサートや落語、マルシェなどが行われて毎回人気だそうですが、
mt ex展では、一体どんなことになるのやら??
色々と聞いてみたのですが、その辺はまだ秘密のようで、
川棚の杜スタッフにも詳細は明かされていないそうです。
建物の真ん前には温泉がありました。
展示の後は、温泉に入ってのんびりするのもいいですね。
森林浴(ミストサウナ)、うたせ湯、ヘルツバス、ジェットバス、リラックスバス、水風呂など、
6種のかけ流し式浴場が楽しめるそうです。時間があれば行きたかったー。
病弱だった毛利のお殿様がたちまち元気になったという湯治場。
切り傷、火傷、慢性皮膚病、慢性婦人病、痛風、動脈硬化、高血圧、神経痛、関節痛などなど、
様々な効能があるようです。
川棚の杜を少し上った高台からは、町を一望でき、
遥か遠くに海と島々を見渡せる、清々しい風景が広がります。
山も海も険しさや荒々しさがなく、穏やかで優しい、まあるくのどかで落ち着いた風景。
驚きの絶景というより、ほっと心が休まるような、癒される景色です。
コルトーさんもこの風景を眺め、遠くの小さな島を見て、「あの島でひっそり死にたい」
とおっしゃったそうです。(その後、島の名前は「孤留島(コルトー)」と名付けられました)
確かにここに立つと、自然の優しさにふわりと包まれるような気持ちになります。
そしてこの景色から後ろを振り返ると、青龍湖が静かに水をたたえています。
この風景のコントラストにも魅了されます。
訪ねた日は雨が上がったばかりで、霧が立ちこめており、ちょっと神秘的な光景でした。
かつてこの地には青龍が棲んでいた、という伝説があるそうですが、
本当に今も棲んでいそうな気配さえ感じます。
さらに車で10分くらいのところにある「クスの森」へ。
クスノキの巨木が、四方八方に悠々と枝を伸ばし、大らかに生い茂っています。
こんもりと緑が広がり、深呼吸したくなるような気持ち良さ。
ここへ来た子供達には「トトロの木」と呼ばれ、地元でも愛されているそうです。
本当に絵本に出てきそうな、耳を澄ましたら木が何か語りかけてくれそうな親しみがあります。
樹齢は1000年以上だそうで、どっしりとこの地に構え、
昔々からずっと見守ってきた、優しい神様のような木でした。
mt ex展を楽しんだ後は、このクスの杜へもぜひ立ち寄ってみて下さい。
広々とした芝生があり、時には地元野菜が売られていたり。
子供と一緒に訪ねても楽しいと思います。
さて、川棚温泉に来たら、これを食べ忘れてはいけません。
この地の名物料理、「瓦そば」です。こちらは3人前。でかいっっ!!
本物の瓦を使っています。
しかも、新品のピカピカの瓦ではなく、古民家を解体したときなどに出てくる、
雨風に打たれて使い込まれた瓦がいいのだとか。
そのほうが丈夫で割れにくく、美味しく仕上がるそうです。
瓦が熱々なので、そばが少し焦げてパリパリになったところが特に美味しいです。
温かいタレに付けて頂きます。
山口出身の友人たちも口を揃えて「絶対食べて行け!」と薦められた逸品。
川棚温泉へは、ぜひお腹を空かせて訪ねて下さいね。
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川棚温泉
川棚の杜