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COLUMN
コラム 2021年9月

銀座にやって来ましたが、

思わず立ち止まってしばらく見上げてしまった、このビル。

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銀座メゾンエルメスのビルです。

イタリア人建築家レンゾ・ピアノが設計した全面ガラスブロックに包まれたビルは、「提灯(ランタン)」をイメージして造られたそうで、夜になると幻想的に発光する姿に、できた当時(2001年竣工)、初めて見たときは衝撃的でした。そのビルが今、虹色のリボンでもかけたように、不思議な風景を街に映し出しています。

銀座メゾンエルメスでは現在「ジュリオ・ル・パルク展」が開催中。いつも展示が行われるフォーラム(ビルの8、9階にあるギャラリースペース)以外に、ファサードやショーウインドーなど、ビル全体を使ってディスプレイされています。フォーラムへ向かうエレベーターにも要注目!!驚いて目を丸くしたまま見入ってしまうような不思議な仕掛けがありますよ。

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いつも素敵な展示を行っている銀座メゾンエルメス。高級ブランド店だけに、入るのを一瞬躊躇してしまいそうになりますが、今回は感染対策もあり、店内には入らずに、店の外にある専用エレベーターで9階まで上がります。(案内の方がいます)

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アルゼンチン生まれ、フランスを拠点に活動するジュリオ・ル・パルクさんは、なんと92歳!

今も現役のアーティストとして制作を続けていらっしゃるそうです。すごい。

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遊び心溢れる、明るい色の洪水に圧倒されます。ル・パルクさんが色の研究を重ね、セレクトされた14色で全てが表現されているそう。独特の世界観があります。

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カラフルなガラス製のパレットがゆらゆらと天井から下がり、色まみれの楽しさ!なんか元気もらえるなー。

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こちらは鏡状のキラキラパレット。テンション上がる!

時々ピカピカッと光ったり、自分が映し出されたり。

床に映る影も幻想的で、いつまでも眺めていたくなります。

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たくさんのドローイング。

緻密な色の構成がものすごく細かく書かれていて、ちょっとクラクラしますが、色の無限の可能性にとことん迫る、職人的探究心に平伏してしまいます。

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カラフルシリーズが多く並んでいましたが、個人的にはこちらも好きでした。

計算され尽くしたモダンなモノトーンのパターン、どこかレトロな格好良さがある。

新しいインスピレーションをたくさんもらえた、とても見ごたえのある展示でした。

色使いや構成など、mtでの創作のヒントにもなるのではないでしょうか。

ちなみに展示のもっと専門的な解説を知りたい方は、美術ライターの友人が記事を書いていたので、参考までにリンクを貼っておきます。ご興味ある方はこちらも読んでみてください。↓↓

https://sumau.com/2021-n/article/1739

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銀座メゾンエルメス フォーラム

https://www.hermes.com/jp/ja/story/maison-ginza/forum/210813/

Les Couleurs en Jeu by Julio Le Parc
「ル・パルクの色 遊びと企て」ジュリオ・ル・パルク展

2021.8.13(金)~11.30(火)

[ファサード展示] 2021.7.29(木)~10月中旬予定

村上春樹の小説の挿絵などでご存知の方も多いと思いますが、イラストレーター・安西水丸さんの展示を観に行ってきました。

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場所は世田谷文学館。

住宅街の中にガラス張りの一風変わった建物がひょっこりと現れます。

ガラス窓に大きく貼ってある「鳩笛?」「パパイヤ?」らしき安西さんのイラストが見えます。

ちょっとワクワクしてきましたー。

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商業利用でなければ館内の撮影もOKです。

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本の装丁や挿絵、広告デザイン、そして自身でもエッセイや絵本、漫画を製作するなど幅広く活躍された安西さんの多彩な仕事ぶりが様々な角度から紹介されています。

絶妙にクールで洗練された色彩感覚にハッとしつつも、どこかおとぼけ感のあるほのぼのゆるい筆のタッチに癒されて、全体的に気持ちが明るくなる展示でした。

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安西さんのこの言葉もいいですね。

「あなたはあなたらしくていいんだよ。自分らしく生きよう」と全肯定されている気持ちになりました。(勝手に良い風に解釈)

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絵本のイラスト。かわいいなあ。

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「小説現代」の目次帯に使われたイラストデザインだそうです。ちょっとマチスを思わせる雰囲気。

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こちらはなんと和田誠さんとの合作。左が和田さん、右が安西さん。この絵好きです。家に飾りたい。二人で描かれた絵は他にもたくさん展示されていました。

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ココファームワイナリーと〆張鶴!ワインや日本酒のラベルも描かれていたのですねー。

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テレビ番組の企画をきっかけに誕生したという山梨県小淵沢駅の駅弁「元気甲斐」。全体のアートディレクションは伊丹十三、デザインは太田和彦、山本益博が料理をディレクションして東西の料亭が開発、などなどめちゃくちゃ豪華な顔ぶれで作られた贅沢な夢のお弁当。そしてイラストはもちろん安西さん!現在も販売しています。しょっちゅう小淵沢に行っていたのに全く気付かなかった迂闊な自分。次に行った時は絶対購入しようと心に決めました。

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安西さんが子供の頃に描いたポスターのイラストだそうです。すでに完成度が高い!!

他にもたくさんあって、写真もたくさん撮ったのですが、多過ぎてここにはもう紹介しきれないくらい。とにかく展示作品数が思っていた以上にボリュームたっぷりです。じっくり観ていると半日くらい余裕で経ってしまいそうです。

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安西さんの私物コレクションもたくさん展示されていました。旅先で見つけた不思議なオブジェや、スノードーム、鳥取の民芸品など、どれも安西さんの人柄を思わせるユニークなものばかりで、本人がすぐそこにいるような気配があり、見応えありました。

写真はブルーウィローと呼ばれる、不思議なオリエンタル模様の英国陶器。昔実家にあったよ!という方もおられるのではないでしょうか?安西さんも好きで集めていたそうです。

ところで障子の向こうのシルエットはもしや安西さんでは? 実はミュージアムの粋なアイデアで、館内のあちこちに、ひょっこりと安西さんが隠れているのです。行った方は探してみてください。

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遊び心がふんだんに散りばめられたディスプレイも、今回の展示の楽しさの一つでした。

こんな顔ハメもありますよー。

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展示室以外でも館内あちこちに、大きく引き伸ばして切り抜かれた安西さんの巨大イラストパネルがどどーんと設置されています。どれも可愛くてユーモラスで楽しいのです。空間に独特の雰囲気を醸し出していました。

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併設されたカフェの入り口には、ご飯を食べる安西さんのイラストが!思わずクスッとしてしまいます。

面白そうという予想はあったけれど、想像以上に安西ワールドを満喫できた充実の展示でした。これをキュレーションして製作したミュージアムの人達もきっと楽しみながら作ったんだろうなあという想いがひしひしと感じられて、こちらもワクワクしながらすごく楽しめた!!

会期を延長して9月20日(月・祝)までやっているそうなので、ご興味ある方はぜひ行ってみてください。

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世田谷文学館

https://www.setabun.or.jp

プロフィール

江澤 香織
インテリア、雑貨、料理、ライフスタイルなどを中心に、新聞・雑誌・広告・WEB等でフリーライター、コーディネーターとして活動。All Aboutにて雑貨ガイド担当。
http://allabout.co.jp/living/zakka/
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