本物の花のような作品
渋谷にある松濤美術館で行われている「須田悦弘」展へ行ってきました。
松濤美術館は白井晟一の設計。どーんとした石造りの壁面に、宇宙みのある不思議な丸い屋根など、かなりインパクトのある個性的な建物で建築的にも見応えがあります。内部は真ん中が吹き抜けになっており、池と噴水があります。丸く囲われた展示室のガラス窓のどこからでも噴水を眺めることができます。
須田悦弘さんは多摩美術大学の出身ですが、独学で木彫りの技術を磨いたという、主に木の彫刻を作るアーティスト。特に実物大のまるで本物のような繊細な植物の彫刻を、ひっそりとさりげなく思いがけない場所に展示することで、独自のファンタジックな世界観を築き上げています。
昔、銀座のギャラリーで須田さんの展示を見たことはあったのですが、その時もあまりにも精巧でさりげない木工作品の数々に言葉を失ったのでした。今回はよりスペースも広く、館内をゆったりと贅沢に使って展示しています。と言っても、須田さんの作品は、よく見ていないと見失うほど、ささやかに小さく、ひっそりと佇んでいます。
例えば上の写真。床と壁の隙間に生えている雑草、これが須田さんの作品なのです。え?嘘、雑草でしょ?なんでこんなとこ生えてんの?って思っちゃうほどめちゃくちゃ自然なんですが、これ、木に彩色した精巧な彫刻作品なんですよね。近づいてよくよく見ても、薄さ、細さ、葉の質感まで、まるで本物!
これは朝顔。だいぶ近づいて撮っていますが、この精巧さ、緻密さ、お分りいただけるでしょうか。
ドアの隙間にはドクダミが咲いていました。この空間を巧みに使った遊び心ある展示が心ニクいです。目を凝らして探さないと、見逃してしまいそうなほど。
ドローイングや過去の作品写真を展示したショーケース。しかし注目は足元です。よーく見てみると・・・
あららー、こんなところにも雑草作品!うっかり踏まないように要注意!
こんな感じで、館内のあちこちに小さな作品が散りばめられていて、繊細で楚々とした様子が美しい。
須田悦弘展の数少ないミュージアムグッズはマスキングテープでした(弊社製)。バラと雑草。思わず2個ゲット!(もう十分過ぎるくらい、マステが死ぬほどうちにあるんですが)
白地にちょこちょこっと植物が印刷してあるだけの超シンプルなデザインに須田さんらしさを感じて、つい惹かれてしまいました。
須田悦弘展は2025年2月2日まで開催していますので、興味のある方はぜひ訪ねてみてください。
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渋谷区立松濤美術館