マスキングテープ「mt」- masking tape -

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つなぐ、閉じる、活かす。「ものづくり館by YKK」とともに開催した、廃材を再生させるワークショップ

#05『mt NEXT 100』
これから先の100年に向けた
廃材を活かし、新たな価値を生むプロジェクト

ものづくり館 by YKK 高荷 剛さん

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昨秋、ファスナーやボタンなどのメーカーとして知られるYKK、「ユニクロ ヨドバシAKIBA店」とカモ井加工紙(以下カモ井)のコラボにより、アップサイクルをテーマにしたワークショップを開催しました。どのような思いからイベント開催に至ったのか、YKKの高荷剛さんとともに振り返ります。

 

 

 202411月、衣服や和紙の廃材・端材を使った工作のワークショップ「廃材でギフトグッズを作ろう」が開催されました。会場となった東京・秋葉原にある「ものづくり館 by YKK」は、商品や企業の取り組みなどを地域の人に知ってもらうためにYKKが運営する、イベントおよびコミュニティスペースです。

 ワークショップの参加費は100円。参加者は、ギフトバッグ、ギフトポーチ、ミニバスケット、シャカシャカキーホルダーから好きなものを選んで作ることができます。材料として、YKKからはファスナーの廃材や樹脂製ボタン、共同開催をしたユニクロからはパンツの裾上げカットをした際に出る余り生地、カモ井からは和紙の端材とマスキングテープを提供しました。

 イベント開催のはじまりは、YKKの商品企画開発担当・高荷剛さんからのご提案でした。そもそも高荷さんとカモ井との出会いは、10年以上も前のことだったそう。高荷さんが「紙でファスナーを作れないか?」と調査や施策をおこなっていたところ、ギフトショーに出店していたカモ井のmtが目に止まったのだそうです。

「商品も魅力的ですし、紙を使ったおもしろい取り組みをしているなと。そういえば、マスキングテープもファスナーも『つなぐ』、『閉じる』もの……もともと役割が似ていたんですよね。そのときから、いつか何かで一緒にできたらいいなと思っていました」

 そして数年後に「YKKのファスナーをもっと広く知ってもらえるように」とノベルティ用としてファスナー柄のマスキングテープを製作。ユニークでかわいいデザインが好評で、「商品化して欲しい」との声も多かったそうです。今回のワークショップ「廃材でギフトグッズを作ろう」は、それに続く2度目のコラボレーションとなりました。

「もともと、ファスナーを顧客提案する際に使用されないサンプル素材が余っているのを見て、捨てるにはもったいないなと思っていたんです。そんなとき、ちょうど別の企画でコラボしていたユニクロさんから『パンツの裾を提供できます』とお聞きして。カモ井さんとはファスナー柄のコラボマスキングテープを作らせていただいたこともあり、また一緒におもしろいものができるのではと、ワークショップのご提案をさせていただきました」

 小学5年生以上を対象としたギフトバッグとギフトポーチ作りでは、参加者の皆さんが思い思いに、好みのデザインの和紙端材やジーンズの裾、ファスナー素材などを組み合わせてミシンで縫い付けていました。また、3歳以上なら誰でも参加できるミニバスケットとシャカシャカキーホルダー作りも子どもたちに好評でした。

和紙の端材やジーンズの裾、ファスナー素材などを自由に組み合わせてギフトバッグに。

ビニールの中に廃材をつめるだけの、簡単シャカシャカキーホルダー。

 

「ミシンを使わず、素材をつなぎあわせてマスキングテープや樹脂ボタンでとめるだけ。小さな子どもでも簡単に作れるものがあって、とてもよかったなと思いました。参加した方からは『楽しかった!』『また来たい!』というご感想もいただき、嬉しかったですね。今後もぜひカモ井さんとのコラボ企画は続けていきたいです」

 

 

 2015年にオープンし、ファスナーなど商品の魅力を伝えるだけでなく、ハンドクラフト文化やアップサイクルをテーマにしたイベントを多数開催してきた「ものづくり館 by YKK」。これからのものづくり文化についてもお話しいただきました。

「たとえば弊社ではユニクロさんのファスナーリペアサービスのサポートなどもしているのですが、壊れたら直して着る、自分のものを最後まで使い切るというサステナブルな意識については、近年さらに高まってきているように感じます。また他人とは違う、自分だけのオリジナルデザインのものを持ちたいというムードも、若い世代を中心に広がってきているようです。ものづくり館で開催するイベントにも、地域の方が興味や関心を持って来てくださり、ありがたい限りです」

 10年以上前に紙製のファスナーを企画・開発していたという高荷さん。その頃と比べても、現在は環境への意識が高まっているといいます。

2012年頃に、糸まで紙でできている、50%以上が紙素材のファスナーを商品化したことがありました。和紙雑貨や高級ブランドで使われたりもしたのですが、時代的に少し早すぎたのか、残念ながらあまり認知がされずに2019年ぐらいで廃盤になりました。ですが、最近はヨーロッパのお客さまからのお問い合わせをいただくこともあります。紙ファスナーはこれからの時代に求められていくのかもしれないなと思っています。

 現在取り組んでいるのは、再生材やバイオマス(再生可能な生物由来の有機性資源。石油などの化石燃料を除く)を使ったファスナーです。作る過程でも、染色や表面処理の際に水を極力使わないようにするなど、環境に配慮した商品を展開していきます。お客さんがとくに意識して選ばなくても、そうしたサスティナブルな商品が当たり前のように店頭に並び、手に取れるようになることを目指しています」

 ものづくり文化の継承と、未来に向けたサステナブルな意識。カモ井もこうした企業の方々と関わり、刺激をいただきながら、より魅力的で環境にもやさしいものづくりへの取り組みを持続していきたいと思います。

 

子どもから大人まで、たくさんの方がハンドクラフトを楽しんでいました。

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