しあわせのはねプロジェクト2 就労継続支援B型事業所 工房リーフ編
制作にご協力いただいている、工房リーフさんにお邪魔しました。西村くんが暮らす京都にある、就労継続支援B型事業所です。ご担当の加藤里奈さんにお話を伺いました。
「しあわせのはねプロジェクト」との出会いのきっかけは?
京都ほっとはあとセンターという障がい者支援センターにこういうお仕事がありますという募集が出ていて、応募させていただいたのがきっかけでした。
率直なことを言うとお仕事がなかったというのが、一番の理由です。
やっぱり今コロナでメンバーさんができるお仕事がなくなっているので、ちょっとでもみなさんの工賃の足しになればと思って、色々お仕事を探している時に見かけたのがこちらのプロジェクトの募集でした。これだったらメンバーさんでもできるかもと思い、一度お話をお聞きすることにしました。
工房リーフさんはどういった施設ですか?
うちは障がい者施設の就労支援B型という施設で、利用者さんが就職できるように支援をしていく場所です。世間で「内職」と言われるような、ダイレクトメールの封入作業や宛名貼りの作業をメインでさせていただいています。40、50代の割と高齢の方が多い施設ですね。男女比率も男性の方が圧倒的に多くて全部で24,5人中の4人しか女性がいません。
基本的に知的障害の方、自閉症といわれる方が多いですね。手先が不器用という訳じゃなくて、逆に細かい作業が得意な方とか色々な個性がある方がいらっしゃいます。
カラフルなマスキングテープを前にして、男性たちの反応はいかがでしたか?
やっぱりかわいい!と反応される方はいらっしゃらなかったですけど、でもこういった遊び心があって個性を出していけるような、作業と実益を兼ねている仕事はなかなかないので、自分で好きに表現しながら楽しく作業をしているようです。普段はミスが許されないお仕事ですが、多少は自分の好きにしても大丈夫、というところが違いですね。
実際に取り組んでみられていかがでしたか?
最初は思っていたより難しくて、、、
実際やってみたらテープを正確にはみ出ないように貼るのがすごく難しく、その時にできるメンバーさんが限られてしまって。貼り合わせる人、切る人と作業を何人かで分業にしました。すると得意な事がだんだんわかってきて担当が決まっていきましたね。器用な方とそうでない方がいるんです。
自動カッターも使いました。手で切ってしまうと切り目が歪んだりして、それで端っこが合わせられなくなるので。これを使うと全部正確に同じ長さに切ってくれるので。だんだんと美しさを追求していくとしっかり貼れるようになってきました。
この機械は封入作業の時にセロハンテープを切るのに使っていました。紆余曲折あったのですが、3日もするとみんな慣れてきました。
出来上がったとき、皆さんの反応はいかがでしたか?
そうですね、たくさんできてきて並ぶとすごく圧巻なんですよね!
うちは施設の名前がリーフなので、葉っぱにも似てるしすごいかわいいねって。でも葉っぱじゃなくて羽だから、ちゃんと羽の形に切ってねって話しながら作っています。
mtマスキングテープのことはご存知でしたか?
mtは以前から使っていました。やっぱり粘着がつかないのがすごく便利で、例えば内職作業のときに、どこが失敗しているか、ここが破れてますとか、ここが汚れていますというところを示すときに使っています。商品を傷つける訳にはいかないので、マスキングテープにここに破れがありますって書いて貼らせてもらったり。すぐ剥がれるし、すぐここだっていうのがわかるし、普段の仕事でも使わせていただくことがたくさんあります。
いつもの内職との違いはどんなところですか?
メインのDMの作業の時はお仕事モードが強いので、割と作業場もピリッとした感じにはなるんです。どうしても納期が決まってるので、この日までに間に合うようにっていうことがあり、緊張感を持たせるようにみんなをせっついたりして、どうしても義務的になってしまいます。
「しあわせのはね」はいつも程はピリピリせずに楽しくできるので、仕事の中の息抜きじゃないですけど、ちょっとオンオフを切り替えたり、バランスをとる役割になっています。
作ったものが商品になるので、今までだったら作業だったものが、誰かの手に渡るという、いつもの作業とは違うやりがいというか、それは利用者さんも感じておられると思います。
失敗してしまった人に、買った人がこれを受け取ったらどう思う?って聞くんですよ。嫌ですねって言うんですね。じゃあそういうのは作ったらだめなんだよって、説明するようにしています。一方的にこれはダメでは、何でなのかわからないし、どうしたらいいのかわからないと嫌になっちゃうので。
実際店頭に並ぶ物にお仕事として関わることは、そういったことを話し合ったり考えるきっかけになりますので、すごくありがたいと思います。
なるべくテープも無駄にしたくないなって思います。実際パッケージに入ったものを見ると、色々種類があって、同系色でまとめられててすごいきれいですよね。テープの幅もいろいろあって太いものから細いものまであって、それに応じて長さも変えると、用途も雰囲気も変わりますよね。
西村くんのアイデアだと聞いて、どう感じられましたか?
高校生が思いついたということに、すごくびっくりしました。なにより行動されたことがすごい。さらにそれを障がい者や高齢者のお仕事にならないかと考えた発想も、なかなか高校生では出てこないと思います。
この業界で働いていたら、なんとなく思いついたりもするんですけど、ほとんどの方が縁がないとぱっと出てこない。お仕事として持ってきてくださったのは、すごくありがたい事です。うちにとっては大事な経済活動なんです。もっと売る場所が広がっていったらいいですね。こういう仕事を求めてる施設って日本中たくさんあると思うんです。今はイベントも減って、DMやチラシの仕事もなくなっていますから。
西村くんは実際にみなさんが作業されているのを見られてどう感じましたか?
みなさん上手だなって。驚きですし、嬉しいです。みんなが楽しんでやってくれてるというのが、僕の思っていたことがちゃんと伝わっていて嬉しいです。続いて繋がっていければ一番いいなと思います。
加藤さん、最後に一言お願いします。
障がいのある方って感性が独特なんです。我々の見てる世界とは、やっぱり違うものが見えていて、受け取り方もすごく違います。そういった個性が発揮できる機会は少なくて、彼らの個性や感性を活かして手作業で作り出す時間はすごく大事だと感じています。
羽を切るよって言ったら、彼らそれぞれで羽のイメージがやっぱり違うんですよね。いろんな形ができたりするのはすごく面白いですし、やっぱり彼らの魅力を活かすきっかけになるので、こういったものが広がって、障がい者のある方の感性が活かされた商品が、もっとみなさんに簡単に手に取っていただけるようになるとすごく嬉しいなと思います。
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例えばmtのイベントに設置する体験コーナーでみなさんに作っていただいたものが、どこかで販売されて、収益が誰かに寄付されるとか、そういったアクションもできるのでは?と可能性を感じました。お客様も自分のために作るだけでなく、誰かのために作る喜びを共通することが、今の時代にはすごく大切なことだと感じました。加藤さん、本当にありがとうございました。
NPO 特定非営利活動法人 工房リーフ (障害者就労継続支援B型事業)
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