INTERVIEWインタビュー
mtが誕生して10年。
かつて工業用に使われていたカモ井のマスキングテープが
文具や雑貨向けとして、暮らしを彩る「mt」になるまで
ユーザーの皆さまをはじめ、多くのクリエイターとともに
現在のmtの世界観はつくられてきました。
そんなmtにとってかかせない、つくり手たちの
インタビューを連載いたします。
初回は、mtブランドを共に作り上げたアートディレクター、
居山浩二さんにお話を伺いました。
- 居山 浩二 プロフィール
- 1967年静岡県生まれ。'92年多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。
日本デザインセンター、atomを経てイヤマデザイン設立。D&AD最高賞、カンヌライオンズ金賞、SPIKES ASIA グランプリ、
ONESHOW金賞、CLIO金賞NYADC金賞、DESIGN TOKYO大賞グランプリ、mtのブランドデザインを担当。
1. mtをデザインすること
- 寄り引きだったり、荒くしたりぎゅっと詰まらせたり。
何でもモチーフになる。新しいものも限りなく。 - 最初にパターン以外のモチーフを考えたとき、最も意識したのは、
丸めていると塊なんだけど、引き出すと細長いものがどんどんどんどん連続していくという元々持っている機能、
そういった形状に対してふさわしいモチーフって何なんだろうというところ
世の中にあるもので細長いモチーフって何なのかなって。 - 例えばチェーンみたいなものとか、紐みたいなものから始まって、ちぎっていくと
四角い面ができていくので、その場合に使いやすいものは何か、ラベルみたいなものや、
実在する何か既にあるもので、その形状にフィットするモチーフを探すところから、アイデアを考えていきました。 - その後は、形状に縛られることもなく、細い表現面積の中で、
寄ったりひいたりしてみることによって、
いかようにもこの中で良い定着ができるということをある時点で認識するようになりました。 - 寄り引き、密度。荒くしたりぎゅっと詰まらせたりしてバランスを保ったり、
メリハリをつけたり、そういったことを複合的にあわせていくと、
大抵のものが良い形で定着できるということが、だんだんわかってきて、
どんなものもモチーフになってくる。たくさん形にしてきましたが、
近しいものも出す一方で、新しいものもいくらでもまだまだできるという実感があります。
2. mtで空間を描くこと
- ゼロから自分で考えると言う事ではなく、
場に促されている。感覚を大事にしています。 - 会場のデザインを考える時、まず基本にあるのは空間がどんな作りになっているかに着目します。
商業施設だったら他のショップと混在する中でどんなことができるのか。
倉庫みたいなところだったら、天井が高いとかすごく暗いとか、いろんな特徴が会場にあって。
同じ建物は二つとないわけで、できるだけ会場の独自性を引き出すようにしています。 - エリア全体の空気感や、歴史だとかを、徹底的に調べ尽くしていくんですが
何をすればいいか、ゼロから自分で考えなくとも最終的には場が引き出してくれるんです。
なので毎回違う場所でやるからこそ、場に促されるからこそ違うものができるということ。
それが面白いし、大事にしています。
3. mtという存在と可能性
- お互いが良い影響をし合いながら、
ものを作って喜び合える関係を作りたい。 - mtはもともとマスキングテープが好きだという人がきっかけで生まれた商品で、
お客さんの使い方やニーズと常に寄り添いながら育ってきた商品です。
いろんな使い方を拝見することがデザインや商品開発にダイレクトに反映することもあります。
それは我々にとってとても嬉しいことですし、
どんどん見せていただきたいと言う気持ちがあります。
そうやってお互いが良い影響をし合いながら、ものを作って喜び合える関係を作りたい。
それってとても嬉しいことですよね。